2025年度第74回朝日広告賞「広告主参加・新聞広告の部」グランプリは、大塚製薬のロングセラーブランド「ポカリスエット」の広告。高校野球のシーズンに合わせて朝日新聞スポーツ面で、野球帽の「つば裏言葉」をクローズアップした写真と、高校球児たちへのエールを約2週間にわたって連日展開しました。大塚製薬ポカリスエット宣伝担当者、電通第2CRプランニング部・クリエイティブディレクション2B部長・クリエイティブ・ディレクターの橋本卓郎氏に話を聞きました。
グランプリ受賞のご感想は?
ポカリスエット宣伝担当者:歴史ある賞での初めてグランプリということで、大変うれしく思っています。今回の新聞広告はいろいろな要素を削ぎ落として言葉とグラフィックのみで展開しているだけに、ブランドとして伝えたい“芯”の部分を認めていただいた気がしています。
橋本:本広告で題材とした野球帽を貸してくださった方々をはじめ、多くの方々のご協力があって実現した企画ですので、皆さんに最高のご報告ができると思うとうれしいです。制作チームも受賞の知らせに沸きました。
朝日新聞でポカリスエットの広告を展開する意義について聞かせてください。
ポカリスエット宣伝担当者:高校野球のシーズンは朝日新聞のスポーツ面で、球児たちが連日繰り広げる本当のドラマが掲載されます。その記事と並走してコピーやビジュアルを展開することで、ブランドとしてのストーリーやメッセージにも想像をめぐらせていただく余地が生まれるのではないかと考え、出稿しました。
今回の広告に込めた思いについて。
ポカリスエット宣伝担当者:「君はきっと、誰かの太陽。」というキャッチコピーは、ポカリスエットブランド全体のコミュニケーションワードとして昨年発信しました。ポカリスエットは製品名に「SWEAT(汗)」という言葉を使っています。ただ、近年は夏の酷暑の中での運動や外出が制限され汗をかく機会自体が減少するケースや、汗をかくことへ何となくネガティブなイメージを持たれるケースも散見されました。ですが、汗は本来人間に備わっている非常に重要なことであり、前向きな行動でもあります。そこで、「汗をかく人は、周囲を照らし、いつしか他者にも汗をかきたいと思わせる太陽のような存在になる」という汗を肯定するメッセージで、この時代における「汗」の価値を再定義しました。新聞は時代を伝えるメディアですので、その場所でより踏み込んだメッセージを届けたいと思い、電通のクリエイティブチームの協力を得ながら、今回の企画に至りました。
橋本:「つば裏言葉」をモチーフにするアイデアは、アートディレクターの柴谷が野球帽のつば裏に文字を書く文化を知っていて、資料を持ってきたのがきっかけでした。「つば裏言葉」というワードは、野球界で昔から続いていた名もない慣習に、あらためて呼び名をつけたもの。一般にも広げていけたらと考え、「#つば裏言葉」というハッシュタグを添えて掲載しました。高校野球の球児たちは、汗をかいて頑張る姿を通じて、いろいろな人に力を与えていて、まさに太陽のような存在です。でも彼らはきっと、他の人にすばらしい影響を与えていることに無自覚です。そこでポカリスエットからのエールを込めて「その汗は、君が思うより強い。」というコピーを今回のシリーズのために制作しました。このコピーを紙面で展開するうえでは、背景に夏の青空のビジュアルを敷き、試合結果の記事が毎日更新されるのと同様に空の景色も更新していきました。
つば裏言葉はどのようにして集めたのですか?
橋本:実際に使われた“本物”にまさるものはないと思ったので、クリエイティブスタッフそれぞれのつながりで、元高校球児たちに声をかけて集めていきました。ひとつひとつのつば裏は本当に個性的で、言葉選びはもちろん、文字の筆跡や書かれた位置にも選手の人柄が現れていました。汗でつば裏の言葉がにじんでいたり、土汚れがついていたり、見ているだけで球児たちの努力が想像できるものばかりでした。その一つひとつの写真に帽子の持ち主が連想できるようなコピーを添えて、約2週間にわたって毎日掲載。紙面を開くと中央に記事、右側に夏の青空を背景にしたメインコピー、左側につば裏言葉の写真と、目を移すごとに発見があって紙面全体で高校野球の感動を体感できるような設計にしました。
ポカリスエット宣伝担当者:つば裏に書かれた言葉は、球児自身が書いたもの、親御さんが書いたもの、監督が書いたもの、チームメートの寄せ書きなどさまざまで、言葉の背景にあるストーリーや、書いた方の熱量まで想像できました。野球にくわしくなくても、野球以外のことに打ち込んでいる人も、どんな世代の人でも、きっと共感してくださると思いました。幅広く読まれている新聞に掲載することで、より広がりのある企画になったと感じています。
広告の反響は。
ポカリスエット宣伝担当者:「ありそうでなかった面白い切り口」「毎日チェックしてしまう」「紙面の両端に対で掲載されていたところが新鮮だった」「家族で話題にしました」などの声が寄せられました。「朝日新聞での毎年の掲載を楽しみにしています」といううれしい反響もありました。
今後の広告展開について。
ポカリスエット宣伝担当者:歴史のある新聞メディアだからこそ、既存にない試みをすることに発見や気づきがあると思いますので、愛されるブランドであり続けるために、今後も新しいチャレンジを続けていきたいです。
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