第73回
朝日広告賞 入賞作品一覧
「一般公募・新聞広告の部」の応募総数は、1,635点。候補作品が40点余りに絞られた段階で中間講評を実施。評価のポイントについては、
完成度は高くなくても広告の法則を壊すような新しいチャレンジであれば票を入れたい（川口清勝氏）
時代の視点や今の空気が感じられる作品を選びたい（児島令子氏）
などの意見が述べられた。総評としては、
AIで作成したのではないかと思うような作品が増えており、時代の流れを感じる（瀧本幹也氏）
戦争の気配や災害など“時代の意識”の最前線が集まっている（国井美香氏）
いいコピーがたくさんあった一方で、コピーの文字が小さすぎる作品が多いのが気になった（葛西薫氏など複数）
といった意見が聞かれました。
審査の結果、彩きもの学院による課題を扱った奥野真由さん、難波航太さんの作品が最高賞に輝きました。
朝日広告賞
-
賞名 朝日広告賞 広告主 彩きもの学院 課題 着物を美しく着る文化を後世に引き継ぐ 受賞者 奥野真由、難波航太 タイトル にんきもの？ 段数 二連版30段 - 箭内道彦氏
- 着物を見せていないのに、着物を想起させる。新聞紙面を開いたときに「外国人たちが着物姿の自分を見ている」とドキッとしそう。
- 篠原ともえ氏
- この課題に対して、着物の柄や文化がすばらしいというアプローチが多かった中で、着物を一切見せずに着物の魅力を想像させる切り口が面白かった。また、人々の視線が“冷やかし”の印象にならないように、きちんと表情のディレクションをしているのでは。「にんきもの？」というコピーも含めて着物へのリスペクトが感じられる。
- 国井美香氏
- 「見られている自分」という客観的な世界観。そこに「にんきもの？」というメッセージを置いているところが軽やかでいい。
- 川口清勝氏
- 商品を見せないテクニックは従来からあるので驚かないが、新聞紙面を開いたときに人々がこちらを見ているこのビジュアルが出てきたら驚くと思う。一方で、これだけ外国人に見られるのは芸妓さんや舞妓さんで、普通の着物ではここまで注目されないと思うので、もう一つ踏み込んで工夫してくれたらもっと良くなったかも。
準朝日広告賞
-
賞名 準朝日広告賞 広告主 岩波書店 課題 『広辞苑』 受賞者 大金慎 タイトル 100語あたり、約4円。 段数 二連版30段 - 佐藤卓氏
- イラストレーションがすばらしい。
- 小杉幸一氏
- 『広辞苑』にいいものが詰まっていて「おトク」ということを、説明的ではなくイラストとメッセージで感覚的に伝えることに成功している。
- 川口清勝氏
- 未熟さはあるが、とても気になる表現。
- 浅葉克己氏
- 実際の『広辞苑』はここまで大きくはないと思うが、絵に迫力がある。
-
賞名 準朝日広告賞 広告主 丸美屋食品工業 課題 のりたま 受賞者 金山千咲、六笠詩音、大濱元輝 タイトル こ～～～～～～～～～～～～～～んなに入って、4文字。 段数 二連版30段 - 児島令子氏
- 「ごはんにかけるだけ」という食卓におけるシンプルさと「のりたま」という平仮名４文字のネーミングのシンプルさを上手く重ねて表現している。中身が豊富ながら商品名も食べ方もシンプルな「のりたま」のブランディングとしてすばらしい。
- 葛西薫氏
- 「のりたま」の商品特性が１行ですっきりと読める。
-
賞名 準朝日広告賞 広告主 国際協力機構（JICA） 課題 若年層の方がJICA海外協力隊に思わず参加してみたくなる広告 受賞者 川﨑太呂 タイトル どんな教えも力になる 段数 二連版30段 - 箭内道彦氏
- コピーとイラストの距離感が絶妙。実写の風景を想起させる。問題提起にもなっている作品。
- 川口清勝氏
- レイアウトもコピーも決して上手くないが、何かやろうとしている感じがある。イラストはとても良く、ポップでエネルギッシュ。我々審査委員がこういう表現をやれと言われてもできないのでは、と思う。
入選
-
賞名 入選 広告主 文藝春秋 課題 Sports Graphic Number 受賞者 中久喜晴人、木村朱里、青木玲 タイトル 目標。 段数 15段 - 国井美果氏
- 「いつか、僕の背にも」というコピーと『Number』のロゴの取り合わせが巧い。スカッとする広告。『Number』は偉大なアスリートのバックストーリーを取り上げるメディアだが、偉大なアスリートもきっとこのような下積み時代から始まったはず、と感情移入できる。清々しいアイデアで、『Number』と「青春」の取り合わせもいい。
- 副田高行氏
- 写真のトーンも含めて好感を持った。最近こうした広告表現が少ないので、かえって新鮮だった。
-
賞名 入選 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 入江亮介、市野花、小幡悠矢 タイトル 生存手段 段数 二連版30段 - 佐藤卓氏
- 「イギリスでは、薬の代わりに本を処方することがあるんだって。」というコピーが良かった。知らなかったことを教えてもらった。
- 副田高行氏
- 自分も薬の代わりに本を処方する国があると初めて知った。日本では聞かないことなので、新鮮だった。コピーの文字が非常に小さかったのは残念。
-
賞名 入選 広告主 平凡社 課題 平凡社ライブラリーのロングセラー、半藤一利「昭和史」シリーズ 受賞者 栗本真亜人、武田麻鈴、坂本忠謙、西本凌也 タイトル ふつうのひとが、起こした戦争。 段数 二連版30段 - 箭内道彦氏
- 子どもだけが別の景色を見ているのは、希望なのかどうか……。意味を探りたくなる。重みがある。
- 佐藤卓氏
- 暗いトーンのイラストレーションだが、雰囲気がある。今も世界で戦争が起こっている中で、考えさせられるコピー。
-
賞名 入選 広告主 ABJ 課題 STOP! 海賊版 受賞者 平岡悠稀、菅野里菜 タイトル キャラ、一斉ストライキ。 段数 二連版30段 - 瀧本幹也氏
- ハリウッドで映画俳優たちがストを行ったこともあり、タイムリー性があってわかりやすかった。
- 副田高行氏
- セリフと擬音だけのビジュアルがポップ。新鮮に感じた。
-
賞名 入選 広告主 キッコーマン 課題 企業広告「おいしい記憶をつくりたい。」 受賞者 篠﨑千穂、長谷川柚香 タイトル ［1］ひとたらしの醤油：「どうも、ひとたらしの醤油です。」［2］ひとたらしの醤油：「これにも、ひとたらしの醤油です。［3］ひとたらしの醤油：「みんなとなかよし、ひとたらしの醤油です。」 段数 ［1］［2］［3］15段 シリーズ 3点 - 篠原ともえ氏
- 絵がかわいい。これからどういう食の冒険をするんだろうと見守りたくなる、愛着がわく醤油のキャラクター。ほのかなクラフト感もよく、新聞のザラッとした質感との相性もよさそう。
- 国井美香氏
- 食卓にいつも当たり前にある醤油のたたずまいを上手く表現し、素朴に誇張なく「どうしようもなく愛されてしまう醤油」を伝えている。「人たらし」をもじった「ひとたらし」というコピーがオシャレ。“人柄”のいい作品。
-
賞名 入選 広告主 マイナビ 課題 マイナビブランドに好意をもって頂けるような企業広告 受賞者 入江亮介、市野花、小幡悠矢 タイトル 一度しかない人生ですから。 段数 二連版30段 - 児島令子氏
- 「大きくなったら、お医者さんになりたいです。それから転職して、パティシエになりたいです。」というコピーは、今の子どもたちの職業観はすでにこうなっているのかも、と感じさせる。転職が当たり前になってきた時代の空気感がよく出ている。
- 小杉幸一氏
- 個人の考え方が重視される時代の中で「いろいろな働き方があっていい」という大らかなメッセージを上手く表現している。受験の面接という設定にリアリティと説得力がある。素直なメッセージと素直な絵づくりに好感。
-
賞名 入選 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 石神慎吾、野田智菜実 タイトル ［1］本は、読み終わったあとも面白い。：読んだ人には炎が見える。：金閣寺［2］本は、読み終わったあとも面白い。：読んだ人には列車が見える。：銀河鉄道 ※［1］の作品は一部改変しています。 段数 ［1］［2］15段 シリーズ 2点 -
賞名 入選 広告主 キッコーマン 課題 企業広告「おいしい記憶をつくりたい。」 受賞者 出口柚月 タイトル しょうゆときみの夏休み［1］８がつ11にち：からあげ［2］８がつ12にち：おつけもの［3］８がつ13にち：やきおにぎり［4］８がつ14にち：おさしみ［5］８がつ19にち：ぎょうざ［6］８がつ20にち：おべんとう［7］８がつ23にち：にくじゃが［8］８がつ27にち：チャーハン 段数 ［1］-［8］小型（天声人語左） シリーズ 8点 - 葛西薫氏
- 「しょうゆも〜です。」という一連のコピーの中で、「しょうゆもそう思います。」という言葉が特に好きだった。“身の程を知っている感じ”がいかにも醤油らしくていい。
- 浅葉克己氏
- 好感の持てる広告。
-
賞名 入選 広告主 パイン 課題 「パインアメ」の美味しさを伝える広告 受賞者 黒田夏葉／使用ツール: 生成AI （クラウドワークスAI） タイトル あまずっぱくて14 段数 二連版30段 - 瀧本幹也氏
- ダジャレに惹かれてしまうのもどうかと思いつつ好感を持った。
- 小杉幸一氏
- 鮮度の高さ、メッセージの軽やかさ、新聞広告として“いい意味での裏切り”が感じられる。イラストのトーンも含めて好き。
-
賞名 入選 広告主 大塚製薬 課題 ポカリスエット 受賞者 徳田敦彦、池尻元輝、勝見寿々香、久岡崇裕 タイトル ポカリスエットは多感な10代の感性も応援したい 段数 二連版30段
小型広告賞
-
賞名 小型広告賞 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 市原雅章、井堀遥、松井一紘 タイトル ［1］こんなのないよ。［2］こんなのいらない。［3］これイヤだね。［4］いつでも見れるよ。［5］邪魔は、入らないよ。［6］ノン•ストレス 段数 ［1］-［6］小型（天声人語左） シリーズ 6点 - 瀧本幹也氏
- シンプルでわかりやすい。
-
賞名 小型広告賞 広告主 岩波書店 課題 『広辞苑』 受賞者 山口敏生、永髙裕太、中島海斗 タイトル 続きは広辞苑で。［1］ンゴニ［2］ムリダンガム［3］ムックリ［4］おにく［5］せのてづるもづる［6］つめがえる［7］コアラ［8］アメリカしろひとり［9］葉序［10］へまむしよ入道［11］鎌輪奴［12］参らせ候［13］真知子巻［14］正ちゃん帽［15］姫瓜の雛［16］投島田［17］芥子坊主［18］ちょろけん［19］善か善か飴［20］竹馬［21］マクデブルクの半球［22］クラインの壺［23］痩せ男［24］美男［25］がぶ［26］いか［27］南部暦［28］括猿［29］ハンド-アックス［30］肩衣 段数 ［1］-［30］小型（天声人語左） シリーズ 30点 - 篠原ともえ氏
- 一目見て「『広辞苑』の絵って面白い。読んでみたい」と思った。どれも好きなタッチの絵で、私自身にしっかりと機能した表現。
審査委員賞
-
賞名 審査委員賞（コピー賞） 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 谷口泰星、小比類巻洋太、立花泰成 タイトル 避難所からの避難所。 段数 二連版30段 - 国井美香氏
- 暗い避難所の中で明かりを灯しながら自分の心をエスケープさせるというアイデアがいい。
-
賞名 審査委員賞（写真賞） 広告主 平凡社 課題 平凡社ライブラリーのロングセラー、半藤一利「昭和史」シリーズ 受賞者 北川秀彦、ミウラユウタ、三宅幸代 タイトル 平和な時代に生まれてよかった 段数 15段 - 児島令子氏
- 戦後の日本は平和が続いているが、近年は「何が起こるかわからない」という危機感が漂っている。「『平和な時代に生まれてよかった。』戦前の人もそう思ってたのかもしれない。」というコピーは、戦前のことを言っているようで、今の自分たちのことを言っている気がして、いいコピーだと思った。
-
賞名 審査委員賞（イラストレーション賞） 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 吉村優作、浦野夏実、寺西安奈 タイトル 静寂 段数 15段
学生奨励賞
-
賞名 学生奨励賞 広告主 石塚硝子 課題 ガラスメーカーが開発、口臭ケア歯磨き粉ブランド「デオグラ」 受賞者 樋口鈴音 タイトル ［1］［2］愛の距離、縮めるためには。 段数 ［1］［2］二連版30段 シリーズ 2点 -
賞名 学生奨励賞 広告主 岩波書店 課題 『広辞苑』 受賞者 堀翔太 タイトル ［1］寄り道が楽しい本です：寄り道：海［2］寄り道が楽しい本です：寄り道：山［3］寄り道が楽しい本です：寄り道：都会［4］寄り道が楽しい本です：寄り道：地下 段数 ［1］-［4］15段 シリーズ 4点
Contact
朝日広告賞のお問い合わせは「お問い合わせフォーム」から。
応募作品などの送付先は「郵送物の宛先」へ。
-
お問い合わせ
作品応募の
不明点などは
「応募についてのQ&A」
もご覧ください。 -
郵便物などの宛先
〒104-8011
東京都中央区築地 5-3-2
朝日新聞社 メディア事業本部
朝日広告賞事務局