2017年度 第66回 朝日広告賞「一般公募の部」受賞作品
2017年度 第66回
朝日広告賞「一般公募の部」受賞作品

2017年度 第66回 朝日広告賞「一般公募の部」は、えひめ飲料の課題「朝食とポンジュース」を扱った作品がグランプリを受賞した。制作者の森久瑠美(もり くるみ)さんは応募当時、広告デザイン専門学校の2年生。現在は名古屋の印刷会社、東洋プリディア株式会社に勤める。受賞作は、学生生活最後の作品だった。

ニュースとジュースが生活の一部だった

「朝=ポンジュース」と想起できるものを探す中で、朝は必ず見るニュースとジュースをかけることをひらめいたと語る
森さんは「朝=ポンジュース」と想起できるものを探す中で、朝は必ず見るニュースとジュースをかけることをひらめいたと語る

グランプリを受賞した感想は。

驚きました。夢ではないかと思って、受賞報告のメールを何度も確認してしまいました(笑)。それほどうれしかったです。

応募した経緯について、教えてください。

名古屋の広告デザイン専門学校卒業の年に、授業の一環として応募しました。先生には1年生の時から、「朝日広告賞に応募するならポンジュースの課題にしたい!」と言っていました。父親の転勤で小学2年生から中学2年生まで愛媛で暮らしていたので、「ポンジュース」はなじみの商品だったんです。朝の食卓には必ずあって、給食でも飲んでいました。

応募作品の制作の経緯について、聞かせてください。

意気込んで制作を始めたものの、「朝食」と「ポンジュース」をどうつなげるかですごく悩みました。最初は料理の写真を使うことを考えたのですが、どんなに朝食っぽさを意識しても、昼食や夕食との違いが明確に出ませんでした。しかも、課題についてクラスでディスカッションした際に、クラスメートの半数が朝食をとらないことがわかりました。そこで、料理の案はやめ、朝食をとらない人でも「朝=ポンジュース」と想起できるものを探しました。

アイデアが浮かんだのは、朝の通学途中です。自転車で1時間ほどかけて通っていたので、考えをめぐらすにはちょうどいい時間でした。「わが家では、朝は必ずテレビニュースを見ているな……。ニュースを見ながらポンジュース……。ニュースとジュース! 今朝のジュース!!」。まぁ、ダジャレですが(笑)、学校に着いてすぐにメモしました。この案が出てからの作業はとても楽しく、学校生活の中で一番自由に制作できたように思います。

新聞メディアということで特に意識したことは。

30段の紙面の大きさは、テレビモニターの大きさだと37インチぐらい。一人暮らしの家にあるテレビは、だいたいそのくらいの大きさかな、などと想像しつつ、「いつも見ているテレビニュース」が、新聞をめくった先に現れたら面白いのでは、と考えました。

ビジュアルのポイントは。

最初はニュースキャスターを入れたビジュアルにしていたのですが、「もっと情報を少なくしたほうがコピーが引き立つのでは?」と先生から指摘され、確かにそうだと思いました。最終的にイメージしたのは、熊本の祖母の家で見たNHKの天気予報です。祖母の家に行くと朝は決まってNHKがついていて、家族みんなで見るんです。そんなことを思い出しながら制作しました。

写真は、地元名古屋のテレビ塔からスマホで撮影した2018年の初日の出です。学校を卒業して社会人になる年の幕開けに、気合いを入れるために友人と一緒に見に行きました。他にも何カ所かで朝日を撮影しましたが、初日の出の写真に落ち着きました。

朝の静かな雰囲気を出すため、みかん色はあえて抑えた

アイデアをフルに注ぎ込んで一つの作品を完成させたことが、自分にとって大きな自信になったと微笑む森さん
アイデアをフルに注ぎ込んで一つの作品を完成させたことが、自分にとって大きな自信になった、と微笑む森さん

制作に際して留意したことは。

こだわったのは太陽の位置で、えひめ飲料のウエブサイトに、ポンジュースのラベルデザインの基調は上から赤・白・緑で、赤の部分が太陽を表現している、と書かれていたので、紙面の上部に朝日を配置しました。

「ジュース」の字は、ポンジュースの「ジュース」の書体をそのまま使い、「今朝の」の字は、既存の書体を加工して「ポン」の字と同じ明朝体の印象になるように仕上げました。モニターに映った文字に見えるように、エッジを微妙にぼかす加工もしています。時刻表示を「6:30」としたのは、私が朝食をとる時間がちょうどそのくらいだからです。朝の静かな雰囲気を大事にしたかったので、ポンジュースのみかん色はあえて強調しませんでした。

朝日広告賞についてどのようなイメージがありますか?

シンプルな表現なのに後を引く、じっくり見ているうちにじわじわメッセージが伝わってくる。過去の受賞作を見ると、そんな作品が多い印象があります。

森さんが広告デザインの道に進もうと思ったのは、いつ頃のことですか?

子供の頃から絵や漫画を描くことが好きで、高校は商業科のグラフィックデザインコースに進みました。3年間デザインを学ぶ中で広告デザインに興味を持ち、本格的に勉強したいと思って広告デザイン専門学校に2年間通いました。現在は名古屋にある印刷会社のデザイン部署で働いています。

どのような仕事に携わっているのでしょう。

中刷り広告、パンフレット、冊子の表紙、ウエブなど、様々なメディアの印刷やデザインを行っている会社で、新人の私はいろいろと挑戦させてもらっています。「なんでもやらせてください」という感じです(笑)。制作しただけで満足するのではなく、クライアントから「効果があった。ターゲットに届いてお客様が増えた」という声をいただけるような仕事を目指しています。

今後、どのようなクリエーティブに取り組んでいきたいですか?

専門学校時代、「名古屋をデザイン都市に」というテーマの授業があり、「名古屋発のデザインコンペが少ないね。もっと盛り上がったらいいね」などと、クラスでよく話し合われていたんです。その思いは今もあります。個人的には空間ディスプレーが好きなので、いつかやれたらいいなと思っています。

グランプリの賞金の使い道は。

母から「大きく入った時は大きく使いなさい」と言われているので、そうするつもりです(笑)。使い道はまだ決めかねているのですが、ひとまず一眼レフカメラを買いたいです。

次回の応募者にメッセージをお願いします。

今回の応募作品は、卒業制作の完成後に作った、学生生活最後の作品でした。制作に際しては、先生の助言を参考にしながらも、全体的には自分のやりたいことを貫きました。賞はもちろんうれしかったですが、アイデアをフルに注ぎ込んで一つの作品を完成させたこと自体、自分にとって大きな自信になりました。朝日広告賞への応募は、自分の総合力を試す絶好の機会ではないかと思います。

「一般公募の部」入賞作品一覧を見る
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