2019年度 第68回 朝日広告賞<一般公募>受賞作品
2019年度 第68回
朝日広告賞<一般公募>受賞作品

2019年度 第68回 朝日広告賞<一般公募>は、パナソニックの課題「乾電池エボルタNEO」を扱った作品がグランプリを受賞しました。制作者の小野愛佳さんの朝日広告賞への応募は3回目で、初回からこの課題に挑戦してきたそうです。

制作者の小野愛佳さん

広告賞への応募を重ねる中で広告が好きになった

グランプリを受賞した感想は。

第一報が入ったのは、コロナ下の在宅ワーク中でした。最初は入賞だと勘違いしていて、会社の人にも「入賞みたいです」とメールしてしまって(笑)。少し経ってグランプリだと気づいてメールを送り直したら「え〜っ!?」という雄叫びのメールが一斉に返ってきました(笑)。受賞後初めて出勤した日も会う人皆さんから「おめでとう」と言っていただきました。

応募した経緯について、教えてください。

私は美大時代はアート寄りの学科を専攻していて、広告クリエーティブに携わるようになったのは会社に入ってから。でも早々に先輩から「広告が好きじゃないでしょう?」と言われてしまって。ショックでしたが、確かに「売らんかな」という広告や、見るからに下品な広告など、消費者の気持ちに寄り添っていない広告を見るのがイヤで、当時はそういう広告にばかり目が行っていました。そんな私に、先輩は広告賞の応募を勧めてくれたのです。

実際、いろいろな広告賞に応募を重ねていく中で、企画を考えるのが楽しくなり、広告が好きになり、イヤな広告よりも好きな広告に目が行くようになりました。ある広告賞で入賞したことも励みになり、広告賞の実績が小野の名前で指名される仕事につながるといいなという思いも芽生えました。朝日広告賞への応募は今回で3回目。1回目と2回目は賞にかすりもしませんでした(笑)。

どのような思考プロセスを経て、提出作のアイデアに至ったのでしょう。

実は1回目からパナソニックの課題で提出していました。私に広告賞への応募を勧めてくれた先輩から「子どもがいると親は自分の時間が取れないけれど、おもちゃがあるとひとりで遊んでくれるから助かる」という話を聞いたのがきっかけでした。学生時代に子供専門の写真館でアルバイトしたことがあるので共感できたんです。そこから、長くおもちゃを動かし続けるエボルタは、小さな子どもがいる親の救世主、という発想につながっていきました。

 

ただ、1回目と2回目の応募の時は、発想をうまく表現に落とし込むことができませんでした。それでもあきらめずに会社の人たちと相談する中で、同僚が「ぐるぐる遊び回っていた子供が急にパタっと寝落ちすることを、よく電池切れと言うよね」と話してくれて。これがヒントになって「子供が先に電池切れ。」というコピーが生まれました。私は普段の仕事でもネーミングを先に考えてからデザインするんです。言葉が先にあった方が絵を発想しやすいんですね。今回はピンとくるコピーが見つかったおかげで、一気に絵の構想がふくらんでいきました。

ロボットがわんぱくな子供たちを“百人斬り”

イラストレーショーンに込めた思いについて。

体力があり余っている子供たちが、エボルタで動くおもちゃでさんざん遊んだ末、寝落ちしてしまったというイメージです。おもちゃは、クマや電車などいろいろ考えた末、自我がありそうに見えるロボットにしました。「こんなにたくさん寝かしつけてやったぜ」と、真ん中に立って見渡している感じですね。子供たちを描き足していくうちに、ロボットが子供たちを“百人斬り”したような構図になりました(笑)。

制作はどのように進めていきましたか。

子供とロボットは、iPadにアップルペンシルで、色鉛筆のタッチに近い描画ツールを使って一つひとつ描きました。資料写真からいろんな寝相を集めて描いたのですが、頬を赤らめ、目の表情を加え、背景は柔らかいピンクにして、不気味に見えないように留意しました。

新聞のメディア特性をどう捉えていますか。

現業ではデジタルメディアの仕事が増えていて、SNS上でどれだけ目立つか、どれだけ文字を大きくできるか、どれだけ速く読み取れるか、といったことが問われます。一方新聞は、手元で紙面を開いてじっくり読めるメディア。その特性を信じ、あえて文字を小さめにしました。グランプリの評価をいただいたことで、小さな文字までしっかり読んでもらえる新聞の良さを再確認しました。

グランプリの賞金の使い道は。

在宅ワークが増えたこともあり、最近引越しをしたんです。リモート会議もあるので、デスク周りの環境づくりに投資しようと思っています(笑)。

今後手がけてみたい広告は。

新聞広告は、一度だけ15段広告の制作に加わったことがあるだけなので、また手がけてみたいです。30段広告に挑戦できたらうれしいですね。

次回の応募者に、一言お願いします。

コロナ後、世の中の状況や常識が大きく変わりました。次回はそれをふまえた作品が多くなるのではないでしょうか。どんな表現が出てくるのか楽しみです。

<一般公募>入賞作品一覧を見る
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