2020年度 第69回
朝日広告賞 入賞作品一覧Past2020
「一般公募の部」の応募総数は1207点。候補作品が40点余りに絞られた段階で中間講評を実施。審査委員からは、「新聞広告的レトリックの呪縛に蹂躙されていない、パッと見てわかりやすく、なおかつしっかりコミュニケーションがとれている作品を評価した」（川口清勝氏）、「時代を反映してか、生活者の中でたまっている何か、出口が見えない何か、みたいなものを表現した作品が多かった気がする」（タナカノリユキ氏）、「ストレートに気持ちが伝わってくる表現が多かったが、全体的にグラフィックとしてのアウトプットが物足りなかった」（中島信也氏）といった意見が寄せられました。
審査の結果、富士急行による課題を扱った篠宮沙良さんの作品が最高賞に輝きました。
朝日広告賞
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賞名 朝日広告賞 広告主 富士急行 課題 遊園地「富士急ハイランド」 受賞者 篠宮沙良 タイトル ビューン！ 段数 二連版30段 - 佐々木宏氏
- 富士急ハイランドの従来の広告表現と雰囲気が違っていて、今作はどこか美術的。そのイメージのギャップがいい。
- 副田高行氏
- グランプリにふさわしい。
- 瀧本幹也氏
- 目玉はリアルではなくつくりものだろうが、「どうやって撮ったんだろう？」と思わせる。目玉と涙でアルファベットの「Ｑ」にも見える。
- タナカノリユキ氏
- 「目は口ほどに物を言う」という言葉があるが、まさにそんな感じ。風を感じさせる構図。ショッキングなビジュアルで、ルイス・ブニュエルの「アンダルシアの犬」を想起した。富士急ハイランドのロゴマークもうまく機能している。
準朝日広告賞
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賞名 準朝日広告賞 広告主 えひめ飲料 課題 ポンジュースでひと休み 受賞者 大石知足、大石由佳 タイトル どう？ 段数 全15段 - 葛西薫氏
- 見る人との距離や共感のつかまえ方がほどよい。長く見ているうちにだんだんと引き込まれていく。バックのオレンジ色がきいていて、デザインとしてもよくできている。
- 国井美果氏
- コピーはないが、繊細なイラストを通して思いが通じ合っている２人の関係性や、「飲みたいんだけど、大丈夫」という心の機微が甘酸っぱく伝わってくる。バックのオレンジ色によってポンジュースの味わいの“シズル”も感じられた。
- 箭内道彦氏
- コロナ禍をネタにする表現はあまり見たくないと思っていたが、２人の目の表情や「おいしいからあげるよ」という気持ちに好感を持った。
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賞名 準朝日広告賞 広告主 大塚製薬 課題 ポカリスエット 受賞者 江城雄志 タイトル 青春で一杯。 段数 二連版30段 - 浅葉克己氏
- 見ていて気持ちのいい広告。
- 葛西薫氏
- スピード感がある広告。子どもたちのカバンが置いてなかったとしても、伝えたいことがよくわかる。のれんのデザインが銭湯のたたずまいによく合っている。
- 国井美果氏
- 銭湯にいる子どもたちがどれだけ汗をかいたか、どれだけ気持ちよく汗を流しているか、どれだけ喉が渇いているか……。風呂上がりに繰り広げられるであろう、ポカリスエットを「ゴクゴクッ、プハーッ」とやる光景が、一連の物語として誰の脳裏にも浮かぶと思う。爽快な１点。
- 佐藤卓氏
- 日本の伝統的な建物に超モダンなポカリスエットのマークがのれんとしてかかっている。シンプルな構造だが、風呂上がりに冷たいポカリスエットが喉を通っていく “シズル”が美しいビジュアルで表現されている。
- 副田高行氏
- 好きな表現だが、左上のロゴマークはいらなかったかも。
- タナカノリユキ氏
- “シズル”を感じる。「青春で一杯。」という課題とリンクさせたのだろうが、学生たちのカバンがなくてもちゃんと成立する。
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賞名 準朝日広告賞 広告主 富士急行 課題 遊園地「富士急ハイランド」 受賞者 合田有希 タイトル ［1］［2］attraction 段数 ［1］［2］二連版30段 シリーズ 2点 - 佐藤卓氏
- 想像力をもって見ると、メトロノームのようなごく日常にあるものも、その動きを遊園地で再現すると、恐怖の場に変わってしまうというアイデアなのかなと思う。色のトーンや質感に不思議な魅力がある。
- 瀧本幹也氏
- 色数が最小限でレイアウトが堂々としていて、これまでの富士急ハイランドの広告とは全く違う方向から攻めている。新しさを感じた。ザラッとした“粒子感”もいい。
入選
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賞名 入選 広告主 ナイガイ 課題 日々の生活で足どりが軽くなる様なナイガイ靴下の訴求広告 受賞者 杉村映穂 タイトル ［1］心地よさ：夫婦［2］心地よさ：親子 段数 ［1］［2］全15段 段数 2点 - 浅葉克己氏
- 見ていて気持ちのいい広告。
- 児島令子氏
- ビジュアルに好感。
- 中島信也氏
- 風を感じるイラスト。この横に嫌な事件の記事が並んだとしても、何かヒュッと抜けていくような「遊び」や「余白」を感じさせる。それは新聞広告の大事な役割だと思う。
- 箭内道彦氏
- 靴下が風に揺れている風景に、湿度や光や音を感じる。いい広告。
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賞名 入選 広告主 河合塾 課題 すべては一人ひとりの生徒のために 受賞者 島田彩、内山奈月 タイトル 答えのない未来を解く力 段数 二連版30段 - 浅葉克己氏
- コピーがいい。
- 児島令子氏
- 『サピエンス全史』的視点。コロナで世界がどう変わるのか？ いい方向に。という視点がいい。
- 国井美果氏
- 今の受験は、こうした問いが解けるような人間になりなさいという方向にかじを切っている。親がこの広告を見たら、河合塾はよくわかっていると思うだろう。「答えのない未来を解く力。」というコピーもいい。時代が抱える問題について、自分なりの解を持つことの大切さが伝わってくる。
- タナカノリユキ氏
- コロナ禍によって次の時代がどう変わっていくのか。どういう新しい時代を切り拓いていくのか。自分なら空白に何を書くだろうかと真剣に考え、立ちすくんでしまった。クライアントの課題をパブリックに「一緒に考えていく」という姿勢もよかった。
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賞名 入選 広告主 カメヤマ 課題 ローソク・キャンドル 受賞者 安達岳、大山大介 タイトル 明るいと、言えないことっていっぱいある。 段数 全15段 - 葛西薫氏
- 夜であるとか、闇であるとか、見えないことの方が情報量が多いといつも思っている。丸出しじゃない闇の良さ、暗さの良さが見事に表現されていると感じた。レイアウトもいい。
- 佐々木宏氏
- ２人を照らすほのかな明るさだけでロウソクの火の灯りを感じる。「カメヤマ」の文字がさりげなく入っているのもいい。15段広告の良さを感じた作品。
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賞名 入選 広告主 えひめ飲料 課題 ポンジュースでひと休み 受賞者 水口透子 タイトル ごくっ 段数 二連版30段 - 葛西薫氏
- 絵がとてもかわいらしい。とぼけているようだが、一つひとつ見ていくとよくできている。今の大変な世の中も「どこ吹く風」という感じがあって、ホッとさせられた。
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賞名 入選 広告主 資生堂 課題 「アネッサ パーフェクトUVスキンケアミルク」商品広告 受賞者 松野伸幸、日髙良次 タイトル どうか、日焼けまでニューノーマルになりませんように。 段数 二連版30段 - 浅葉克己氏
- 「マスクの年」を象徴する、気になるイラストレーション。
- 佐藤卓氏
- 不思議な表情を持った３人。太陽はアネッサのマーク。ちょっと変わったイラストレーションが面白い。
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賞名 入選 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 青木慧子、水田聖平 タイトル ［1］さあ、未開の知へ。：深林篇［2］さあ、未開の知へ。：大海篇 段数 ［1］［2］二連版30段 シリーズ 2点 - 箭内道彦氏
- 見ていて気持ちいい。絵や世界のつくり方が好き。「未知＝まだ開いていない知性」という意味合いのコピーもいい。
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賞名 入選 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案〉 受賞者 宮坂和里、大山大介 タイトル 私の感覚コレクション 段数 全15段 - 葛西薫氏
- 小説の感想を述べるときに、なかなか言葉が出てこないことがある。そんなふうに苦しんで言葉にしている感じが伝わってくる。特に「細く先の割れた銅線で肌をなぞられるようなひりつき」という表現が好き。一つひとつの文字を追って長い間見てしまう。
- 佐々木宏氏
- 背表紙の文字は、書名でもなく、本の紹介文でもなく、感覚的な言葉。そして右下にスラッと「私の感覚コレクション」のコピー。プロモーション的な売り文句では買わない人に対して感覚的に攻めているところが企画としていい。「何の本だろう？ 教えてほしい」と思わせる。
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賞名 入選 広告主 トンボ鉛筆 課題 ＴＯＭＢＯＷの文具のブランド広告 受賞者 鈴木一太郎 タイトル 再出発 段数 二連版30段 - 佐々木宏氏
- 今年度は、マスクをモチーフにした作品や、ソーシャルディスタンスをモチーフにした作品が多く見られた。それが悪いわけではないが、何年か経つと通用しない表現かもしれない。今作の「再出発」「何度でも、」といったコピーは、いつの時代にも通用する。消しゴムの特性と「再出発」という言葉がよく合っているし、優れた作品だと思う。
- 中島信也氏
- 「再出発」「何度でも、」ということばが自分に響いた。ただ、紙面が折れる位置に「出」の字がきてしまうのが気になった。
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賞名 入選 広告主 厚生労働省 課題 「里親制度」または「特別養子縁組制度」の認知・理解を広める広告 受賞者 山内ゆな、岡村和樹 タイトル 夫婦が知っていること 段数 全15段 - 川口清勝氏
- 多様性の中で特別養子縁組という選択肢を考えてもいいのではないか、という角度からアプローチしている。新聞らしい広告。
- 佐々木宏氏
- 真面目でシャープな言葉が「なるほど、確かにそうだ」と思わせる。優れたコピー。
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賞名 入選 広告主 カメヤマ 課題 ローソク・キャンドル 受賞者 藤本春 タイトル ［1］［2］［3］変わらないぬくもり 段数 ［1］［2］［3］全15段 シリーズ 3点 - 川口清勝氏
- 取り上げた絵画の時代はローソクを灯して絵を描いていたと思う。当時の時間の使い方を情緒的に伝えようとしているところがうまい。
- 中島信也氏
- 名画に「カメヤマ」という企業ロゴを入れただけのビジュアル。ずるい気もするが、今の時期に新聞をめくってこれらの名画が目に飛び込んできたら、アートの力で引きつけられるだろうし、解放される何かがあると思う。
小型広告賞
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賞名 小型広告賞 広告主 救心製薬 課題 責任世代の方に「救心錠剤」 受賞者 髙木守、田原あすか、佐々木楓 タイトル 心臓にくる通知 段数 ［1］-［20］天声人語左 シリーズ 20点 - 瀧本幹也氏
- スマホの画面をトリミングしたような小型広告。わかりやすいし、ドキッとさせられる。なるほどと思った広告。
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賞名 小型広告賞 広告主 三省堂 課題 考える辞書『新明解国語辞典 第八版』 受賞者 嶋崎仁美 タイトル へんな言葉。 段数 ［1］-［9］天声人語左 シリーズ 9点 - 国井美果氏
- 当たり前に思われてきた日本語に対して、今の時代の尺度で「へんなの。」と疑問を持っている。自分がナチュラルに感じた疑問から世界を広げてくれるのが辞書だと思うので、「へんなの。」が入り口になっているところがとてもいい。「世界はわからない言葉であふれている」という押さえの言葉もいい。
審査委員賞
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賞名 審査委員賞（写真賞） 広告主 トンボ鉛筆 課題 ＴＯＭＢＯＷの文具のブランド広告 受賞者 桜井成美、松村遼平、萩原志周、河野智己、永井樹里 タイトル 書けない気持ちも、受けとめる。 段数 二連版30段 - 佐々木宏氏
- 写真だけでなくコピーも秀逸。
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賞名 審査委員賞（コピー賞） 広告主 ロッテ 課題 「お口の恋人」をテーマにした企業広告 受賞者 山矢由依 タイトル たべちゃった彼女 段数 全15段 - 国井美果氏
- 「お口の恋人」はコーポレートメッセージの大傑作だと思うが、それを痛快にチャーミングに紹介している。ブランドが愛されていることがわかるかわいい広告。
- 佐々木宏氏
- 「お口の恋人」というロッテおなじみのキャッチフレーズは、自分の世代的にはガムを連想するが、今作はチョコレートを想起させる。「わたし、恋人をたべちゃったわ。」というショッキングなコピーに強さがあって、でも嫌みな感じはしない。口元と手にチョコがついたイラストもかわいい。
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賞名 審査委員賞（企画賞） 広告主 九州・山口匠の会 課題 減築のすすめ 受賞者 木村和人 タイトル なぜ、のぼるのか。そこに２階があるからだ。 段数 全15段 - 佐々木宏氏
- ２階に上がるおっくうさは自分にも覚えがある。シンプルな表現だが、世の中のためになる広告だと思う。イラストがかわいらしく、突き出し広告にしてもよさそう。
学生奨励賞
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賞名 学生奨励賞 広告主 講談社 課題 「本が、あなたを待っている」 受賞者 山下潤 タイトル ひとりじゃないよ。 段数 全15段 -
賞名 学生奨励賞 広告主 森林文化協会 課題 温暖化の危機などから地球を守ってくれる森の大切さを伝える広告 受賞者 栗本真亜人 タイトル 森が不足しています。 段数 二連版30段 - 児島令子氏
- ビジュアルに好感。
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賞名 学生奨励賞 広告主 おぼろタオル 課題 世代を超えて愛される人生に寄り添うタオル 受賞者 対馬自由莉 タイトル ［1］ずっと：「はじめまして。」［2］ずっと：「いつかこんな日がくるのかな。」 段数 ［1］［2］全15段 シリーズ 2点
