2017年度 第66回
朝日広告賞 入賞作品一覧Past2017
「一般公募の部」の応募総数は1671点。候補作品がおよそ39点に絞られた段階で中間講評を実施。各審査委員から注目した作品への感想や推薦理由が語られました。
総合的には、「クオリティーの高い作品が多い」という意見が多く、また、学生の応募者数が伸びたことを歓迎する声もありました。「コピーやイラストの力作が目立った」「新聞ならではの表現がよく考えられている」といった感想も寄せられました。
審査の結果、えひめ飲料による課題を扱った森久瑠美さんの作品が最高賞に輝きました。
朝日広告賞
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賞名 朝日広告賞 広告主 えひめ飲料 課題 朝食とポンジュース 受賞者 森久瑠美 タイトル 今朝のジュース 段数 全30段（二連版） - 浅葉克己氏
- 写真が濁っている感じがいい。これがすっきりきれいな写真だったらあまり面白くなかったと思う。
- 児島令子氏
- 圧倒的なライブ感があって、既存のアイデアから抜け出ている。ポンジュースのオレンジ色は使っていないが、フレッシュなオレンジジュースのシズルを感じさせる。「6:30」という時刻表示も効いている。直感的に書体がいいなと思ったら、ポンジュースの書体であることに後から気づいた。かわいらしく強さもある書体。朝、新聞を開いてこの広告を目にしたら、「１日がんばろう」という気持ちになると思う。
- 佐藤卓氏
- さわやかな色のジュースを濁ったトーンで仕上げるという、反抗的な態度がすごく面白い。「やられたな」という感じ（笑）。
- 佐々木宏氏
- 候補作品の中では頭抜けていた。ポンジュースというとオレンジ色のイメージが強いが、それとは全く違うトーンで、しかも「今朝のジュース」の文字が、商品のロゴタイプをうまくなぞらえている。アイデアがポーンと抜けていて、それでいてきめ細やかさも感じた。見ていてうれしくなった作品。
- タナカノリユキ氏
- “朝のシズル”があって、“ぬけぬけとした”印象もあって、そこが何ともよかった。
- 中島信也氏
- 朝刊でこの表現を目にするインパクトはすごいだろう。テレビCMやウェブでこのアプローチをしても面白くないと思う。やはり新聞として“投げ込まれる”から面白いし、強さがあるのではないか。よく見ると文字の周りに縁取りがあり、にじみみたいな効果を出している。よく計算されたビジュアル。
- 箭内道彦氏
- 朝日がポンジュースのオレンジ色に感じられる。サブリミナル的なシズル感というか、そういうものがよく計算されている。新聞にテレビのフォーマットを放り込み、競合しているイメージのある新聞とテレビを共存させているあたりが面白い。「6:30」という時刻表示が、新聞が届く時間を示唆していて、適時性も感じられた。
準朝日広告賞
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賞名 準朝日広告賞 広告主 インターメスティック 課題 Zoff SMART（ゾフ・スマート） 受賞者 浅井花怜、 釣瓶昂右 タイトル ［1］山頂から ［2］交差点から 段数 ［1］［2］全30段（二連版） シリーズ 2点シリーズ - 葛西薫氏
- 自分は近眼なので、文字がよく見えないという気持ちがよくわかる。「見え過ぎないほうがいいのかも」と逆説的なとらえ方もできて、よく考えられていると思った。
- 川口清勝氏
- 実際に掲載されても、今回の審査会のようにしっかり読まれると思う。
- 佐藤卓氏
- 最初は意味がわからず、デザイン的にきれいだという理由で注目した。左右を読み比べて作品の意図に気づいた時、さらにすばらしいと思った。深い、厚みのある表現で、実際に掲載されたら、私と同じように感じる人は多いと思う。一発で伝えるのではなく、徐々にじんわりと伝えるコミュニケーションがとても新鮮だった。
- 佐々木宏氏
- 小説のような文章が、一見左右同じに見えるが、「Zoff」のロゴがついていない方の描写は“ピンぼけ”していて、ロゴがついている方の描写ははっきりしているという仕掛け。新聞ならではの表現で、知的で面白かった。
- 副田高行氏
- メガネの広告というと、デザイン的にぼかしたりして「よく見えないこと」を表現する作品が多いが、この作品はコピーワークだけで知的に表現している。しかも、「よく見えないことの価値」というようなことも伝えていて、深い。
- タナカノリユキ氏
- 深く読み込ませて感じさせる文章がよかった。
- 中島信也氏
- 新聞のうまい使い方だと思う。朝日新聞の読者の“偏差値”に合った表現なのでは。
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賞名 準朝日広告賞 広告主 マイナビ 課題 企業広告 受賞者 楠 陽子、中村洋平 タイトル 私は誰にでもなれる。 段数 全30段（二連版） - 佐藤卓氏
- 全体を一つのビジュアルにまとめようとしていない、その考え方が面白いと感じた。実際に掲載されたら、かなり目立つだろう。
- 佐々木宏氏
- 職を転々とするというと、ふつうは暗い話に聞こえるが、さまざまな肩書きの名刺がずらっと並んでいるこの作品は、「このくらい、いろいろな人生が楽しめたら……」「どんどん職なんか変えちゃおうよ」と前向きな想像ができて、楽しかった。
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賞名 準朝日広告賞 広告主 銀座コージーコーナー 課題 「みんなを笑顔にするスイーツ」をテーマにした企業広告 受賞者 荻原海里、志村洸賀 タイトル ［1］スキップしちゃった。 ［2］今すぐ一緒に食べたくて。 ［3］自分で持ちたいっていうから・・・。 ［4］喜ぶ顔が、早く見たかった。 段数 ［1］全10段［2］全5段［3］全5段［4］全10段 シリーズ 4点シリーズ - 葛西薫氏
- 誰もが味わっている経験を、難しいことを言わないで表しているところがすばらしい。
- 児島令子氏
- 見た瞬間に「大好き！」と思った。きれいなケーキの写真ではないが、ウキウキした気分を感じる。今はコンビニでもケーキが買えるので、昔ほど“ケーキの喜び”はなくなってきている。だからこそ、子供の時にケーキを買ってもらってうれしかった気持ちを思い起こさせるようなこの表現は、実際に新聞に掲載されたら届くだろう。しかも新聞のザラっとした紙でこの写真のトーンが再現されたら、すばらしいと思う。赤いロゴとよく合っていて全体の一体感もあった。
- 佐々木宏氏
- 商品をつぶしてしまっているが、楽しい表現。ほんわかとしたムードも伝わる。実際に掲載されたらいい広告になると思う。
- 箭内道彦氏
- 帰り道の途中で箱の中のケーキが偏ってしまうというのは、商品にとっては悲しい致命的な現象だが、そこが逆に家路を急ぐ人たちの息づかいを表しているんだと思うと、とても好ましい。遅くまでオープンしていて、家へのお土産を買いやすいケーキ屋さんであることもうまく伝わってきた。
入選
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賞名 入選 広告主 丸美屋食品工業 課題 のりたま 受賞者 上杉麻実、川瀬真由 タイトル ［1］おさんぽ［2］たたかい［3］よめいり 段数 ［1］［2］［3］全10段 - 佐藤卓氏
- イラストレーションがすばらしい。のりたまは、最高級のふりかけというよりは、当たり前に身近にあるふりかけの代表格。その世界観が、質感とともによく出ている。
- タナカノリユキ氏
- イラストレーションをあえて少しレトロな感じにしているところが商品とよく合っている。かわいらしく、よく見ると母親の愛情が伝わってくるような表現にもなっていて、好感を持った。
- 中島信也氏
- 3点シリーズを通して子どもの成長の様子がわかる。1点目の「おさんぽ」は素直に「かわいいな」という印象。2点目の「たたかい」で、「えっ？戦い？どういうこと？ああ、なるほど」と、成長の歴史を感じる。3点目の「よめいり」で、主人公が女の子であること、その娘が巣立っていくことがわかる。毎日届く新聞で展開されれば、時系列で追っていける楽しさがあると思う。メディアのことをよく計算して作っている作品。
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賞名 入選 広告主 新潮社 課題 「新潮文庫」新しい読書体験の提案 受賞者 金 紗愛、仕子千夏 タイトル ［1］不倫は、読むもの。：舞姫 ［2］差別は、読むもの。：破戒 ［3］戦争は、読むもの。：黒い雨 段数 ［1］［2］［3］全5段 シリーズ 3点シリーズ - 葛西薫氏
- 大げさなことを言っていないけれども、社会に対してきちっと語ることができている印象。
- 佐々木宏氏
- ビジュアルが単調なのが残念だが、視点や切り口はいい。文庫本に様々なジャンルがあることも伝わってくる。
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賞名 入選 広告主 マンダム 課題 40才からの、人生とルシード 受賞者 濱野翔子、深沢夏菜 タイトル ［1］［2］ニオイと向き合う。 段数 ［1］［2］全30段（二連版） シリーズ 2点シリーズ - 葛西薫氏
- 写真とロゴだけで、ある種の男っぽさを感じさせる。男性化粧品という商品特性がしっかり伝わってきた。
- タナカノリユキ氏
- 煙やニオイのシズルが感じられ、こういう店に行くと体中にニオイがつくということがわかりやすく伝わってくる。この写真に男性化粧品のロゴが添えてあることで、想像が広がる。
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賞名 入選 広告主 マンダム 課題 40才からの、人生とルシード 受賞者 櫻井万里明 タイトル ［1］好奇心はハゲない。：エムジハゲ ［2］好奇心はハゲない。：オーガタハゲ ［3］好奇心はハゲない。：ユーガタハゲ ［4］好奇心はハゲない。：チラカリハゲ 段数 ［1］［2］［3］［4］全15段 シリーズ 4点シリーズ - 川口清勝氏
- 「あなたはハゲているかもしれないけれど、知的好奇心はハゲない」というアプローチがよかった。
- 中島信也氏
- 40才以上の新聞読者に向けて、頭髪が薄い人でも「ルシード」を使って残っている頭髪を楽しみましょうよと、攻撃的なようで、実はポジティブな表現をしている。イラストレーションが個人的にとても好き。「好奇心はハゲない」というコピーは、自分に向けたメッセージとしてとらえた。全部剃らないで、元気に生えてくる髪だけでも伸ばしてみようかなという気にさせてくれた（笑）。
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賞名 入選 広告主 イオンライフ 課題 イオンライフを知っていただくための広告 受賞者 佐藤祐太郎 タイトル ［1］ちゃんとしてる（雑談編） ［2］ちゃんとしてる（噂話編） 段数 ［1］［2］全15段 シリーズ 2点シリーズ - 川口清勝氏
- プロがなかなかしない発想。お葬式をユニークな角度でとらえた。
- 児島令子氏
- 実際に掲載されたら、家族みんなで見ると思う。
- 中島信也氏
- 幽霊の吹き出しが、すごくいいコピーになっている。亡くなった人がお葬式のことを語るというのが画期的。比較的年齢層が高い新聞読者に届くと思う。
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賞名 入選 広告主 トンボ鉛筆 課題 TOMBOWの文具のブランド広告 受賞者 小池 茅、河原吉雄、佐藤彩香、小橋柚乃 タイトル ［1］てんちそうぞう［2］びっぐ・ばん 段数 ［1］［2］全30段（二連版） シリーズ 2点シリーズ - 児島令子
- トンボ鉛筆の課題への応募は、鉛筆で書き込んだ佳作がこれまで多かったが、それとは正反対の表現。新聞をパッとめくった時にこのビジュアルが目に飛び込んできたら、一瞬「えっ？」と思い、「ああ、なるほど、トンボ鉛筆か」とわかって、うれしくなると思う。30段で展開する意味がある。特に「びっぐ、ばん」の表現がいい。
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賞名 入選 広告主 はとバス 課題 はとバス 受賞者 鎌田明里、友田菜月 タイトル ［1］はとバスは、平和と一緒に生まれた。［2］素敵な町を見たくて、何もない景色を走りはじめた。 段数 ［1］［2］全15段 シリーズ 2点シリーズ - タナカノリユキ氏
- はとバスというと、イメージカラーの黄色を使ったクリエーティブはよく見るが、この作品はあえてモノクロの写真を使い、年号と短いコピーではとバスの歴史をしっかりと伝えている。プロの仕事という印象。
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賞名 入選 広告主 岩波ホール 課題 「小さな映画館から世界を考える」をテーマにした作品 受賞者 石塚勢二、岩永 雄 タイトル ［1］善でも悪でもない何か。［2］喜怒哀楽とは別の何か。 段数 ［1］［2］全15段 シリーズ 2点シリーズ - 葛西薫氏
- 言葉の奥にあるものを感じさせる。
- 佐々木宏氏
- ビジュアルもそうだが、特にコピーが、岩波ホールで上映されている映画の特殊性を感じさせ、今の時代に対してひとこと言っている感じもして、その深さがよかった。
- タナカノリユキ氏
- この作品をそのまま新聞に掲載しても十分通用するようなプロっぽい仕事。コピーが岩波ホールというものを言い当てていて、かつ言葉以上の何かを感じさせる。
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賞名 入選 広告主 牛乳石鹸 課題 カウブランド赤箱（化粧石けん） 受賞者 池野はる香 タイトル ［1］親子：坊や ［2］親子：お母さん 段数 ［1］［2］全15段 シリーズ 2点シリーズ - 佐藤卓氏
- 説明的に牛乳石鹸とつないでおらず、色で商品の世界観を伝えている。ロングセラーのブランドだからこそ成り立つコミュニケーション。
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賞名 入選 広告主 太田胃散 課題 若い世代に太田胃散の魅力を伝えるような商品広告 受賞者 原 央海、橋本明花 タイトル いいい。 段数 全30段（二連版） - 浅葉克己氏
- 「いい胃」という意味を想像させる言葉の並び順がいいし、平仮名「い」の３連もまたいい。
- タナカノリユキ氏
- パッと見て読みにくいが、その読めない感じが、マンガのセリフのようにも擬音のようにも見えてきて興味深かった。
小型広告賞
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賞名 小型広告賞 広告主 曹洞宗 真光寺 課題 真光寺「樹木葬」 受賞者 上杉麻実、川瀬真由 タイトル ［1］-［31］今日も、朝日の下で。19日目 ～ 49日目 段数 ［1］-［31］小型（題字下） - 児島令子氏
- 親を亡くした人にすごく刺さると思う。掲載されたら毎日見るだろう。葉っぱが育って、枯れて、雨が降って……という樹木葬の雰囲気が色からも伝わってくる。
審査委員賞
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賞名 審査委員賞（イラストレーション賞） 広告主 牛乳石鹸 課題 カウブランド赤箱（化粧石けん） 受賞者 瀧田 翔 タイトル たくさん汚れて、子どもは成長する。 段数 全30段（二連版） - 佐藤卓氏
- 家族で老若男女が愛用してきた石鹸の世界観みたいなものが、親しみやすいトーンのイラストレーションで見事に表現できている。
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賞名 審査委員賞（イラストレーション賞） 広告主 ナイガイ 課題 靴下のマーケットポジションを上げ、快適なナイガイの靴下を普及していける広告 受賞者 熊田かおり タイトル ［1］足元が冷えますので。：せんたく ［2］足元が冷えますので。：おでかけ ［3］足元が冷えますので。：おやすみ 段数 ［1］［2］［3］全15段 シリーズ 3点シリーズ - 川口清勝氏
- 3点ともサンタクロースの顔が見えていないのだが、独特の世界観があって、色のセンスもいい。
学生奨励賞
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賞名 学生奨励賞 広告主 資生堂 課題 「マキアージュ」ブランド広告 受賞者 吉野萌花 タイトル 誰だって、レディになれる。 段数 全30段（二連版） -
賞名 学生奨励賞 広告主 鹿島建設 課題 100年をつくる会社。 受賞者 和田伊真 タイトル ［1］［2］［3］ヒカリがもてなす。 段数 ［1］［2］［3］全15段 シリーズ 3点シリーズ - 浅葉克己氏
- 光を感じさせる空間をうまく表現している。
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賞名 学生奨励賞 広告主 トンボ鉛筆 課題 TOMBOWの文具のブランド広告 受賞者 立田大貴 タイトル 物語は、ここから。 段数 全5段
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