2018年度 第67回 朝日広告賞「広告主参加の部」受賞作品 2018年度 第67回 朝日広告賞「広告主参加の部」受賞作品
2018年度 第67回
朝日広告賞「広告主参加の部」受賞作品

2018年度 第67回 朝日広告賞「広告主参加の部」グランプリは、ストライプインターナショナルの全60段、表裏とも二連版の別刷り広告。広瀬すずさんの真っすぐな視線と、同社が取り組む「エシカルアクション」を伝えるコピーの強さが評判を呼びました。宣伝部長の中村雅美氏に話を聞きました。

「エシカル」の取り組みを、主力ブランドを通じて宣言した企業広告

宣伝部長の中村雅美氏

長年の地道な社会活動を改めて伝えたかった

グランプリを受賞した感想は。

そうそうたる顔ぶれの審査委員の皆さんに選んでいただけたというのは、とても名誉なことで、大変うれしく思っています。

広告のねらいは。

弊社は今年、経営戦略の柱として「エシカル」というキーワードを打ち出しています。その活動を、今年20周年を迎える主力ブランド「earth music&ecology」を通じて伝えたいと考えました。

「ethical(エシカル)」は「倫理的な」「道徳的に正しい」という意味を持つ言葉です。近年は「環境や社会に貢献する活動」という意味合いで使われるようになっていますね。

「エシカルアクション」という言葉を使ったのは今年が初めてですが、弊社はずっと以前から環境保全や社会貢献を意識して活動してきました。中でも「earth music&ecology」は、「ecology」という言葉が象徴するように、人や地球にやさしいブランドを目指し、オーガニックコットンの使用や、リアルファーの不使用、砂漠の緑化活動などを地道に続けてきました。20周年を機にこうした活動の意義を伝え、企業全体の取り組みであることを示すねらいがありました。

クリエーターにはどのようなことを伝えたのでしょう。

エシカルの取り組みはずっと続けてきたものの、その意義を伝えるコミュニケーションは “点”で存在するのみでした。それらを線でつなぐためにも、ブランド20周年を機に服を作ること、届けることの意味を改めて考え、世界をより良くするために「エシカル」の視点で動く、という決意を宣言したいと、代表の石川(康晴氏)自らがコンセプトを伝えました。

コピーを担当したのは、10年にわたり「earth music&ecology」の広告に携わっていただいている、コピーライターの児島令子さん。弊社の理念やお客様層を知り尽くしている方なので、具体的に「こういう言葉を盛り込んでほしい」というリクエストは一切しませんでした。

メッセージ性のあるコピーでした。

「服という商品は」の部分を、「あなたは」「わたしは」といった別の言葉に置き換えて読むこともできます。エシカルアクションを「自分ごと」としてとらえることのできるすばらしいコピーで、石川をはじめ、関係者全員、異論はなく「これでいこう」となりました。

新聞はコピーを能動的に読んでもらえるメディア

新聞で広告を展開した意図は。

掲載は3月9日土曜日の朝刊。首都圏・近畿圏を中心に、店舗の出店場所とリンクさせて展開したエリア広告特集です。前週からテレビCMを放送し、さらに時間のある週末にコピーを新聞で読み込んでいただき、メッセージを浸透させるというメディアプランでした。

新聞に期待したのは、公共性、社会性、説得性、といったメディア特性です。まだ認知度が低い「エシカル」という言葉がどういった意味を含むのか、能動的に読み取ってほしいという思いもありました。

また、今の時代は、SNS上で情報が拡散されることも多いので、思い切って表裏全60段を使い、話題になることを目指しました。

広瀬すずさんをイメージキャラクターに起用した理由は。

「earth music&ecology」のお客様層は、10代から50代までと幅広い。広瀬さんは、認知度も、ファッション性も高く、あらゆる世代に好感を持たれる要素を兼ね備えています。また、10代に支持されていることも重要でした。というのも、市場調査を行ったところ、「エシカル」という言葉の理解度や関心度がいちばん高かったのが10代でした。「エシカル」について発信しているSNSなどを見ても、意外に若い人の参加が多いのです。

新聞広告のメインビジュアルは、広瀬さんの顔のアップ。ブランド広告であると同時に企業広告でもあったので、商品写真は載せず、メッセージ性を重視しました。

写真を担当したのは、瀧本幹也さん。テレビCMは是枝裕和監督にお願いし、同じ日に撮影しました。瀧本さんと広瀬さんは、是枝監督の映画で一緒に仕事をされて信頼関係ができあがっているので、撮影現場は独特の空気感がありました。だからあのナチュラルで強い表情が引き出せたのではないかと思います。

広告の反響は。

「ブランドイメージが変わった。earth music&ecologyがこれからどうなっていくのか、ますます楽しみ」「エシカルに興味がわいた」「エシカルアクションをしたいと思うようになった」といった感想が公式SNSなどに寄せられました。

今後の活動についても聞かせてください。

今年を新たなスタートと位置づけ、エシカルアクションを加速していきます。2月にはSDGs推進室を新たに設置。お買い物袋の有料化、エコバッグの販売、ペットボトルのリサイクル素材を使った服の展開など、ブランドを横断して進めています。服の廃棄を減らすため、生産数前年比20%カットも宣言しました。また、店舗スタッフ一人ひとりがエシカルの意識を高く持てるよう、社員教育にも力を入れています。

「エシカル」な商品への関心は高まっているものの、「エシカルだから買おう」というアクションに至るまでには時間がかかります。一過性の取り組みではなく、店舗、商品、企業活動、すべてにおいて活動を継続することが何より重要です。服を楽しむお客様とともに、一歩ずつ進んでいけたらと思っています。

※取材内容は2019年6月5日時点のものです。

「広告主参加の部」入賞作品一覧を見る
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